第5回 ヨシキ&P2 代表取締役 吉野 清(よしの きよし)さん

山とスキーのアウトドアショップオーナー
初心者からプロまで、みんなの「おやじさん」
今回の登場していただくのは、津田沼駅近くでアウトドア好きには憧れのお店「ヨシキ&P2」を営む吉野清さんです。
まったくの初心者からプロまで、幅広い客層が出入りする吉野さんのショップ。遠くからでも一目でわかるクライミングウォールが目印の「ヨシキ&P2」内は、アウトドア商品でいっぱい。そんな店内で、吉野さんからお話を伺いました。
なぜ津田沼でアウトドアショップを?

ヨシキ&P2
とにかく山が好き、その山好きが高じてショップを開くことになりました。さらに、もともとモノを売り買いする商売が好きだったこともありますね。
店を開くなら、絶対に津田沼にしようと思って、この地を選んだほど津田沼での開店にはこだわりがありましたね。なぜかと言うと、津田沼には山がないから、です。まったくどこを見渡しても、山がないし、山も見えない。こんな土地は全国的にもそうはないと思います。そういう山とはまったく無縁の土地だからこそ、山好きのためのショップを作りたかったんです。
ご出身は習志野と伺っています。山とはどうして出会ったのですか?
谷津の生れ、育ちです。ですから当然、子ども時代は山を知りませんでした。海は日常に貝や魚を取りに行くところでしたから、生活の場と言ってもいいほど親しんでいましたが、山なんてどこにもない。谷津は海抜が0mで、土手から見ればもう海辺です。満潮時には魚が泳いでいるところが、干潮のときは干潟になって、ずっと遠浅の浜になる。海は見渡せても山は知らない、そういう子どもが小学校に上がって、一人の先生と出会ったことで、山を知り、山が好きになったんですよ。T先生という、音楽の先生でした。先生自身が山好きだったので、山を知らずに育つ教え子たちに山の楽しさを教えてやろうと思ったんじゃないでしょうか。先生を中心にして、教え子たちで高尾山や筑波山へハイキングというか、いまでいうトレッキングに行きました。一度、山頂ですごい霧に出会ったことがあって、T先生が「霧じゃなくて雲だよ」と言うんですが、そんなバカなと思いました。それが山を下りてから、山頂を見ると確かに雲がかかっている。あーっ、自分は雲の中にいたんだと感動しましたね。これが、私自身の山の原体験です。T先生はいまもお元気で、私の店にも立ち寄ってくれます。
その後、習志野第一中学に入ったら、そこにも山好きの先生がいて、修学旅行が磐梯山登山だったという思い出があります。地元の人たちが大勢付き添ってくれて、約600人が頂上まで登りました。当時は人数的なこともあり、宿泊先も分宿でしたから、関係者も大変だったと思います。今なら考えられないような修学旅行でした。
高校は商売に興味があったので、商業高校に入りました。登山部に所属して、本格的に山登りを始めたのも高校時代です。そのときの登山仲間たちがいまも、ショップを支えてくれる応援団になってくれています。
山好きには、いい人が多いと言うか、みんないい人ですよ。

花と温泉トレッキング安達太良山社員研修から
山と無縁の土地で、お店を開くのにはご苦労があったと思いますが。
ヨシキも早いもので来年が開店から35年になります。 もちろん最初からいまのような店だったわけではありません。最初は店舗を持たない出張販売、要するに行商でした。25、6歳でしたか、その当時はお客様の求めに応じて、色々な品物を扱っていました。サッカーのユニフォームが欲しいと言えばユニフォーム、野球の道具が欲しいと言われれば野球道具とか。昭和49年に5、6坪の店を開きましたが、行商は続けていました。お客さんもついていたし、行商のほうが店よりも売り上げがよかったからです。店を開いてから5年単位に何かやろう、やらなくてはいけないと思ってもいたんですが。

専門店ならではの商品ぞろえ
5年単位というのは面白いですね。

全部、覚えていますよ。
5年目には、サンロード津田沼に移転しました。様々なスポーツ用品を扱う、小さいショップです。
10年目の時に、同じサンロードのなかで2軒目のショップを開店し、そこで初めて山とスキーをメインにした店づくりを実行しました。
15年目には、いまのショップの向かい側に移転。きっかけは、当時ダイエーのそばにエキゾティックタウンというのが出来て、そこに安売りのスポーツ店が出店してきたからです。当然、サンロードのうちの店の売り上げが落ちる。そこで勝負をかけて、エキゾティックタウンのそばに店を移転しました。安売りではないが、プロショップの良さを認めてもらったことで、お客様が戻ってきました。
その頃まで、行商は続けていましたが、開業20年を機にショップ1本に絞って、山とスキーの専門店として模様替えし、リニューアルオープン。自分自身、どうなる事かと思いましたが、オープン当日お客様がずらっと並んで待っている。お客様の列ができたんですよ。涙が出るほど、うれしかったですね。
25年目には、いまの店舗の場所が空き地になって、お膳立てをしてくれる人たちに恵まれて2店目としての「ヨシキ&P2」をオープンしました。
その後2004年の30年目の時、2軒あったショップを現在のヨシキ&P2に統合しました。P2はプレイの2乗という意味で、「遊ぼう、遊ぼう」の意味です。「なんでもやってみようよ、なんにでもトライしてみようよ」という、若い人向けの雰囲気のショップ作りでした。その精神は変えずに、P2に山とスキーの専門機能を統合。記念に2000株の花の苗木を配って、リスタートの記念にしました。花の苗木は、造園会社をやっていた友人の提案で、お客様が「根付くように」ということで用意してくれました。このときも行列ができて、うれしかったですね。
そうなると、来年の35周年が楽しみですね。なにか企画されているのですか?
35年ということで、少し大人になったヨシキを見てもらいたい。そう思っています。こういう社会不安の時代に、こんな山とスキーの店なんて、別になくても困らない存在ですよね。ただ、人の心のうるおいのために存在している。お客様もみんな、豊かな生活を楽しみたい方々です。その豊かというのは、経済的にという意味ではなく、気持ちが豊かな人ばかりです。そういう方々に何かお礼をしたい。これからも頑張ってもらいたい、という気持ちを込めて、なにか企画したいと思っています。
25周年のとき、記念ツアーということでオーストリアのチロル州に25人くらいで行きました。州都であるインスブルックから西の奥にある渓谷で、エッツタールという場所です。ここが実にいいところで、川沿い、というか沢沿いの自然環境が日本的な感じがする。何度行ってもいいところなので、今回も記念ツアーで行こうかと思っていましたが、まだどうするか決めていません。まあ、少し大人になったヨシキを見てください、とだけ今は考えています。
ヨシキでは、そうやってお客様のためのイベントやツアー、クラブを様々に展開されていますね。

第16回ヨシキカップ杯から
スキークラブの事務局とか色々、煩雑なこと、デスクワークが必要なことをうちで引き受けているだけで、主体はお客様です。もちろん初心者の方のための教室も開いていて、そちらはうちのプロのインストラクターが教えていますが、基本はお客様の方からこうしたい、ああしたいという要望が集まって、わいわいやることになったということですね。
スキーのほかにもクライミングの普及活動にも取り組んでいらっしゃるとか。
15年ほど前から市から依頼されて、実籾の東部体育館にある、クライミングウォールの管理やイベント運営のサポートをクライミングの仲間達としています。
ここは県内最高の高さ12メートルの本格的な壁で、関東大会のクライミングの会場にも使われました。こういうクライミングウォールが市の体育館にあるのは、習志野市がスポーツクライミングに理解があって、市民に普及させたいと思ったからですね。それで、普及活動というか、とにかくクライミングを楽しんでもらいたい、ということで私達は活動しています。うちの店舗の外壁にクライミングウォールを作って、無料開放しているのも、同じ気持ちからです。
スキーであれ、クライミングであれ、初心者からベテランまで、こどもから大人まで、それこそP2ですから、なんでもトライしてもらいたいと思っています。

HP08.10.19 習志野クライミングコンペ
吉野さんご自身の今後の抱負は?
商売の方は世代交代を進めていかなくてはいけないと思っています。
店の方は、いまは息子も含めて若い人たちでインターネット通販も広げています。ただし私自身は、お客様それぞれの顔を浮かべながら、スキーの板を調整したり、削ったり、そういうアナログな作業が好きですね。こういうショップを持ったこともそうですが、海抜0mの地から発信して、知らなかったものにチャレンジし、失敗しても、そこで気付くことがある。その喜びはすごい。0から高いところを目指す!
この先を考えると、自分自身としては、やりたいことがいっぱいあります。誰でも若いころから抱いていた、やりたいことがあると思うのですが、私はやっぱり山と雪だと思っています。
若いころとは違う、自分自身の登山というのをやってみたい。それが今後、やってみたいことですね。

ヨシキHP 季節のスナップ写真館から北アルプス、花
インタビューを終えて。
吉野 清
山とスキーのアウトドアショップ「ヨシキ&P2」代表取締役
1948年、習志野市谷津生まれ。
習志野市の小学校、中学校を卒業後、商業高校にて本格登山を始める。
1974年、ヨシキスポーツ店を開店。2004年以降、山とスキーの専門ショップとして現在地にて営業を続け、多くのアウトドアファンに親しまれている。
来年がオープンから35周年、何らかの記念イベントを計画中。
小学生の時、初めて知った「山」という存在に、半世紀以上立った今も情熱を持って立ち向かっている吉野さん。好きなことを追い続けることの、楽しみと苦労。でも楽しみのほうがまさっているからこそ、いまの吉野さんがいて、こういうショップがこの津田沼にある。「山好きは、みんないい人」という言葉が印象的でした。
ヨシキ&P2
【営業時間】
10:00~20:00
【休日】
毎週火曜日(祝日と重なった場合は営業、翌日の水曜日が休日となります。)
【所在地】
千葉県習志野市谷津1-13-17
【電話・FAX】
TEL:047-470-8090 FAX:047-471-5883
【ホームページ】
http://yoshiki-p2.com/
ちょっとオマケ!
ヨシキでは、ショップの外壁にクライミングウォールがあり無料開放しています。また、店内トイレには、ベビーシートを完備。小さなお子様連れでも大丈夫です。

