習志野の歴史を知ろう

習志野の歴史を切り口にさまざまな名所や活動をご紹介いたします。

第2回 世界に繋がる習志野の自然ー谷津干潟に行ってみよう!

谷津干潟の様子1

皆さん、ラムサール条約ってご存知ですか?
ここ習志野に、日本で、干潟としては初めてラムサール条約に登録された世界に誇る湿地があります。
その名は「谷津干潟」。都市部に残された数少ない干潟として、毎年、北と南を行き来する渡り鳥たちの「中継地」と呼ばれる重要な生息地となっています。
北海道・釧路湿原が世界的に著名な湿地であることはご存知の方も多いはず。日本国内では、釧路湿原はじめ尾瀬などの著名な湿地が登録されているラムサール条約は、「水鳥の生息地等として国際的に重要な湿地とそこに生息・生育する動植物の保全を促進すること」を目的とした有名な国際条約です。

谷津干潟の様子2

干潟とは、海岸で潮がひいたときに現れる砂泥上の海底面のこと。砂浜と比べて波浪の影響が少なく、勾配が緩やかで、様々な生き物が暮らしていると言われています。今回は、人の暮らしと、自然のゆるやかな日々の営みがバランスよく息づき、守られている谷津干潟の歴史をご紹介します。

~激動の時代を人々に守りぬかれた自然~

塩田・養魚場から遊園地の開園へ(明治~昭和〈戦前〉)

現在の谷津干潟は広さ約40ha東京湾の最奥部に残された干潟です。ちなみに東京ドームが約4.6haですから、その約9倍近くの広さです。ちなみに「感動大陸ユトリシア」は、約66,000㎡(6.6ha)です。周囲の埋立地にはマンション、ビルが建ち並び、その間を高速道路や電車の高架が走っているので、一見、人工的に造られた干潟のようですが、高瀬川と谷津川という2本の水路で海と繋がり、潮が満ち引きする自然のままの干潟です。 明治時代の谷津干潟は東京湾の最も奥に位置する広大な干潟の一部で、遠浅の海岸は塩田や、ボラやウナギの養魚場として、習志野の人々の暮らしを支えていました。しかし、度重なる天災で塩田、養魚場は廃業に追い込まれます。 大正時代の末には、京成電鉄が現在の谷津干潟を含む塩田約75haを買収。一部は「谷津遊園」となり、1982年(昭和57年)の閉園まで身近なレクリエーション施設として近隣の人々に親しまれました。 昭和に入ると、75haのうち谷津干潟を含めた約50haは国によって買収されます。

干潟を守れ! 国の鳥獣保護区から国際的な登録湿地へ(昭和〈高度成長期~現在〉)

時代は経済高度成長期を迎え、東京湾沿岸一帯は自治体による埋立計画が推し進められます。谷津干潟を含めた東京湾最奥部も例外ではなく、昭和40年代に入ると千葉県や習志野市は干潟の埋立を計画します。

会議場 窓際

その後、幾つもの海岸保護のための市民団体が立ち上がり、海岸清掃活動、干潟の観察会、議会への埋立て反対の誓願や陳情、デモ行進、街頭署名など、干潟を守るための力を尽くした市民運動が途切れることなく展開されます。かつて大蔵省管轄地であったために、当時、「大蔵省水面」と呼ばれていた谷津遊園前面約50haの海域は、国の所有地であったが故に、辛うじて埋め立てを免れていきます。そして1970年代半ばを迎える頃には、「大蔵省水面」は、人々により「谷津干潟」の名称で親しまれていく様になります。

会議場 ポスター

一つは1988年(昭和63年)、国が谷津干潟を「国設鳥獣保護区」に指定したこと。これ以後、20年ごとに更新されながら指定は今も続いています。
そして二つめにして最大の出来事。1993年(平成5年)6月10日、第5回ラムサール条約締約国会議で、干潟としては日本で初めての登録湿地して指定されました。これにより、渡り鳥たちの重要な中継地として谷津干潟の価値は世界的に認められ、永く守られて行くこととなります。1997年(平成9年)、習志野市は登録を記念して、6月10日を「谷津干潟の日」に制定しました。おだやかな海辺は、戦前戦後、そして高度成長期と時代の流れにその姿を変えながらも、習志野に暮らし、この浜を愛する人々の手によって、その自然を失うことなく守り続けられてきたのです。

環境学習のコアスーテション~谷津干潟自然観察センターの誕生~

谷津干潟自然観察センター 階段

ラムサール条約には保全のあり方に対する原則があります。そのひとつが「賢明な利用(wise use)」と言われるもの。ざっくばらんに言うと、人と湿地の共生です。谷津干潟は原則として人の立入りは制限されています。では、どうやって「賢明な利用=人と湿地の共生」を実現していくか。検討の末出された答えは「環境学習の場として谷津干潟を利用してもらおう」という考えでした

谷津干潟自然観察センター ラウンジ

1994年(平成6年)7月1日、谷津干潟自然観察センターも含めた谷津干潟公園がオープン。周囲約3.5kmの観察コースには、遊歩道の他にも観察ができるデッキなども用意され、初心者からベテランまで野鳥を気軽に楽しく観察することができます。 また、自然観察センターは、谷津干潟とここに飛来する鳥たちを中心とした観察・学習の場として、訪れる人々に自然の営みへの気づきや大切さを自ら感じ取ってもらうための最前線基地として活発に活動しています。

そして今ー100人を超えるボランティアの運営参加と世界へ翔く環境学習

谷津干潟みどころマップ

自然観察センターの特徴の一つに「市民協働」があります。実はこれ、ラムサール条約が保全のあり方に求めているもう一つの原則、「地域の人々(市民)の参加」の実現でもあります。たとえば、野鳥観察初心者向けの“ぶらっと観察会”、こども向けの観察会“谷津っこ探検隊”など、センターの活動の中心的な観察活動にも多くの市民ボランティアが活躍しています。しかも100人を超えるボランティアの50%は習志野市民! とのこと。市民に谷津干潟がいかに愛されているかを物語っています。

谷津干潟ジュニアレジャーになろう ポスター

そして、センターの専門の職員であるレンジャーの方々は、センターを訪れた皆さんの観察活動のサポートはもちろん、ボランティア研修を行うなど、市民ボランティアの育成にも力を注いでいます。 また、センターでは、特に子供たちに自然への気づきや、干潟の保全に関心を持って欲しいと考え“ジュニアレンジャー”というプログラムを実施しています。小学生の頃から“観察会” や“ジュニアレンジャー”に参加していた子供達の中には、中学生になってボランティア活動に参加したり、全国の湿地で活動する子供達が集う「KODOMOラムサール」に参加する子も登場しています。

自然との共生を目指して

谷津干潟には海から豊富に運ばれてくるプランクトンをエサにするゴカイ、貝、カニ、魚がたくさんいます。谷津干潟に多いシギやチドリたち渡り鳥は、それらをエサにして、シベリアなど繁殖地と東南アジアやオーストラリアなど越冬地を行き来しています。4月5月と8月9月は特にそういう鳥たちでにぎわうシーズンです。 谷津干潟にはわずか40haの中で食物連鎖が見事に成り立つ生態系が息づいています。そのような生態系や自然の移ろいは、ある日、突然、干潟を訪れたからといってにわかに感じ取れるものではありません。 通勤の途中に垣間みることのできる四季折々の干潟の風景。休日に訪れる干潟で、風の音や水の動き、そして美しい鳥たちの姿に癒される時間。近くに暮らしているからこそ、身近に接することのできる自然の営みの素晴らしさ。それこそが習志野に暮らす最高のぜいたくの一つと言えそうです。 ぜひ貴方も、習志野に暮らすからこそ味わえる四季折々の谷津干潟の自然とのふれあいを、心ゆくまで楽しんでみてはいかがですか!

■スポット情報!!

谷津干潟自然観察センター 外観

谷津干潟自然観察センター
習志野市秋津5-1-1
【電話番号】:047-454-8416
【開館日】:火~日9:00~17:00(入館は16:30まで)
【休館日】:月(但し、祝日の場合は翌日) 年末年始(12月28日01月1日)
【入館料】:大人・高校生以上 \300、65歳以上\150(年齢が証明できるものの掲示が必要)、中学生以下無料
【年間パスポート】;高校生以上¥1500、65歳以上\750(年齢が証明できるものの掲示が必要)
【ホームページ】:http://www.yatsuhigata.jp/



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